野沢尚『深紅』を読んで

多くの人にいえることではないか。Aさんは、ある人にとってはイイ父親であるが、ある人にとっては口うるさい上司である。Bさんは、ある人にとってはスマートな紳士であるが、ある人にとっては酔っているところしか見たことないオッサンだったりするような事。

人は、その時の環境や場所、相対する人等その時々によってそこにあった『顔』を覗かせる。そしてその『顔』が不幸にもジグソーパズルのようにカチッとはまった時に予想もしなかった状況に陥ってしまう。前半部分を読みながらそんな事を思った。

あとは杓子定規に「人を殺した加害者《だけ》が悪い」って言えるのかな。様々な要因が重なり合って起きた事だよなと。もちろん殺人肯定は全くしないし、すべての事件がそうではないし、まして自分の身に降りかかったら真逆の判断するだろうけど。うまく言えませんが。

この本は最近読書に凝っているという友人に薦められた。自分では決して手に取る事はなかっただろう。何か自分の好みを人に紹介したり、されたりするのって面白いよなぁ。どうもありがとう。